ウォーターマン VS モンブラン

昨日はAM中から今やっている現場の中間検査がありました。検査員は以前書きました鉄骨検査の時の検査員の方です。検査員は私情は絶対に交えず着々と設計図に記載された仕様(僕が書いている)と都の建築工事標準仕様書通りに進めていきます。まずは資格の確認から行います。資格証を持ってこない奴はまず信用されない、相手にされないという悲惨な結果になります。僕のような設計者の場合は公的な建築設計者情報に登録されていますので特に言われませんが国家資格以外はちゃんと提示し確認を受けることとなります。

しかし、検査員も人間です。私情を交えないというのは原則てあって、何度も会っていると心が通い始めます。だからと言ってきちんとした検査をしますが言葉尻がとっても優しくなっていきます。まず検査は書類の検査から始まり、次に現場の検査を行い現地で指摘を受けます。これを現場事務所に帰ってから「講評」と称してまとめに入り、公文書となる検査報告書に都の監督員、検査員、次に施工会社の責任者、最後に工事監理事務所の責任者と順にサインと捺印をして終わります。

そしてその時がきました。



検査員はモンブランの万年筆で、先ほどまでのご立派なお言葉と裏腹に小さな字でサインしました。インクはブラックでした。そして最後に僕のウォーターマンの登場です。僕は亡き父からサインは大きく丁寧に書きなさいと教えを受けていますので、検査員の文字の1.5倍で書きました。色はロイヤルブルーです。朱肉の赤と色合いがマッチします。

書き終わり机にペンを静かに置くと検査員が僕のペンを取りモンブランとの書き味検査を行いました。話を聞くと彼も万年筆が大好きだそうです。「・・・ではこれで中間検査は終わります」と言って彼はモンブランをジャケットの胸のポケットに刺した瞬間、今までの厳しい顔が温和な顔に戻りました。たぶんきっと彼は僕と同じ年です。またご自身のお父様も万年筆の愛用者だと思います。僕も父が万年筆の愛用者でしたので憧れがありました。(棺に入れてあげたのでこの世にありません)万年筆で彼との同じこだわりを感じた瞬間でした。
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Commented by リップスティック at 2007-12-22 00:05 x
資格を持っているか、そうでないかで全然違いますものね。厳しい世界ですね。
万年筆で書類にサインをするのって、とってもステキですね。検査員の方は、先生のウォーターマンを見て、かなり気になったのでしょう。書き味検査までしちゃったりなんかして、その内、ウォーターマンの太字を買いに行かれるかもしれませんね。
Commented by brighthorn at 2007-12-22 06:49
リップスティック さん

わたし思うのですが、元々手書きの時代だったわけでそれがパソコンが発展してどんな書類でも作れるようになり、なんというか人間味が失われてきたと思うのですね。そこでせめて手書きを残したいと思う人っていると思うのです。年賀状でもただ印刷したものを送りつけそこに何も書いていないというのは失礼に値しますよね。
Commented by ポポロン at 2007-12-23 00:07 x
ついにウォーターマンで公文書にサインをされたのですね。お二人の
お父様も万年筆の愛用者だったようですし共通する思い入れがあるみたいですね・・・ウォーターマンVSモンブランと格好良い対決ですね!
Commented by brighthorn at 2007-12-23 07:28
ポポロン さん

きっと共通した思い入れがあると思いまして、そんな人を身近に感じています。もちろん使用する印鑑も特別注文の先代から伝わる印鑑を使いました。色っぽい文字に仕立てています。
by brighthorn | 2007-12-21 07:04 | 新橋一郎 | Comments(4)

『クルーカットと正ちゃん帽』は毎日更新を目標にしています。


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